
橘千秋は本来、棘のある気高い薔薇だった。愛する速水朔也のためにその棘を抜き、彼が想いを寄せる林若菜を10年間真似て、速水夫人になることだけを夢見ていた。しかし、ウェディングカーを乗り間違えたのが速水朔也の意図的な策略であり、10年間の深い愛情がただの嘘だったと知る。心身ともに疲れ果てた彼女はついに目を覚まし、本来の気高い自分を取り戻す。自らを閉じ込めていた別荘を焼き払い、法律上の夫である五十嵐湊を探しにA国へと旅立った。五十嵐湊は長年彼女に片思いし、ずっと陰ながら見守っていた。橘千秋は彼の支えのもとで個展を開いて画家としてのキャリアを再開し、自分自身を取り戻していく。林若菜からの狂気じみた復讐や、五十嵐湊の命懸けの守護を経て、橘千秋は過去と完全に決別する。五十嵐湊と手を取り合って家庭を築き、愛と自由の中で輝きを取り戻す一方、速水朔也は果てしない後悔の中で孤独な最期を迎えるのだった。
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