武術の天才、周防博通は父の誕生祝いに花を添えるため、南の武林の第一人者の座を奪い取った。しかし、その行為が周防道場一家皆殺しの悲劇を招くとは思いもしなかった。十年が過ぎ、かつての周防博通は周防不通と名を変え、橘道場の次女の入り婿となっていた。武術を知らず、揉め事を起こさない腑抜けとして、妻子を養う傍ら、ささやかな晩酌だけが趣味だった。本家の侮辱にも、周防不通はひたすら耐え、決して怒りを見せなかった。そんな中、橘道場が宿敵・神崎道場から悪意ある道場破りに遭い、武術連盟から除名される危機に瀕する。妻が神崎家に屈服させられそうになったその時、周防不通が立ち上がる。