篠宮司に8年間片思いをしていた桜井小夜は、ついに最高の結末が訪れたと思ったが、それが深い闇への入り口だとは知る由もなかった。ある平凡な日、司は突然彼女にプロポーズする。小夜は涙を流すほど感激し、結婚生活に胸を膨らませていた。しかし、人前では仲睦まじい夫が、家に帰ると「紳士協定」を盾に、彼女に指一本触れようとしないのだった。その時初めて、司が彼女と結婚したのは、実家からの催促を逃れ、一日も早く家業を継ぐためだけだったと知る。それでも小夜は諦めず、司が自分に好意を抱いてくれることを信じ、切に願っていた。司が父親からその名声を認められず、家業を継げないと知った小夜は、彼の名声を高めるため、司の名義でろう学校へのボランティア活動を絶えず行った。彼女はただ、司が望むものすべてを手に入れてほしいと願っていたのだ。