家畜は二十年以上生きると妖怪になるという言い伝えがあった。母が育てた赤い山羊は二十年生き、私は怖かった。隣人カオリが消え、靴が残された。夜、庭で父の声が聞こえ、覗くと赤い山羊が門に立ち、父の声を発し、カオリの靴を履いていた。叔母が泊まった夜、庭から叔母の声が従姉妹を呼び、影は「羊頭人身」だった。父も恐怖を感じた。長老は山羊が人を害すると言い、両親は神社へ送る。山羊は逃げ父に噛みついた。村人は山羊が人を喰うと確信。数日後、赤い山羊が村人を廃井戸へ導き、縛られたカオリを発見。犯人は人身売買の行商人だった。山羊は助けようと、話せないため人の声を真似たが、皆化け物だと思い込んだ。山羊は二度と戻らなかった。母は山羊が妖怪とは信じず、「長く生きすぎ、人のことが分かりすぎただけ」と語った。