謝臨風は江南の渡し場で、二文銭で赤い紐のついた古い青磁の薬罐を手に入れた。罐の底にある「葵記」の二文字が、穂県の過去を呼び起こす。少年時代、彼は家が貧しく、よく沈記薬舗を訪れていた。少女の沈葵は細やかな心遣いの持ち主で、彼の胃寒に気づき、心を込めて薬罐をあつらえ、薬を調合したが、彼は言葉でそれを突き放してしまう。その後、沈葵の父が病死し、彼女は薬舗を支えながら苦しい日々を送り、ついには故郷を遠く離れた。数年後、科挙に及第した謝臨風は清渓県まで彼女を捜し求め、ついに自らの想いと愧疚の念を打ち明ける。この古い薬罐には、少女の深い愛情と少年の遅すぎた気づきが隠されており、彼の人生に欠けていた「一味」をも補うものであった。