幼い頃に婚約した許婚は、田舎から出てきた両親のいない私の従妹を不憫に思い、彼女を屋敷に迎え入れた。
奉行所の定めでは、女子は十八までに嫁がなければ役人が婿をあてがうことになっているからだ。
だが彼は忘れていた。来月には十八になる、彼と婚約した私がいることを。
父が使いに尋ねさせると、彼はただ素っ気なくこう言った。
「もう何年も待ったのだ。もう少し待てばよかろう」
「橘琴音、お前には両親も家族もいる。だが結衣には、私しかいないのだ」。
その後、父は急いで私のために新たな縁談を決めた。
まさか、私の嫁入りと彼が側室を迎える日が同じ日になるとは。
花嫁の輿に乗る私と、白馬にまたがる彼がすれ違った瞬間、彼は振り返った。だが、そこに映ったのは、遠ざかっていく私の嫁入りの行列だけだった……