私は将軍の正室の娘。幼い頃から父や兄と北狄で暮らしてきた。
そのため、裁縫と刺繍や髪飾りについて教わることなく、乗馬と弓術ばかりを学んだ。
皇太子は私のことを人とは違うと称賛し、衆議を退けて皇帝に賜婚を求めた。
しかしその後、丞相が皇帝に退位を迫り、皇宮全体が危険にさらされた。
皇太子は憔悴しきった様子で人波をかき分けてやって来たが、妊娠中の私を無視し、第二皇子の妃をかばった。
「婉婉、怖がるな。私がいる」
原来、帝都の貴婦人たちとは違うと言っていた皇太子殿下も、とうに他人の優しさに心を奪われていたのだ。
私は将軍府が出兵して乱を平定することを条件に、自ら堕胎を願い出て、皇太子との離縁を求めた。
その瞬間、いつも冷静で穏やかだった皇太子殿下は、初めて人前で自制心を失った。