権力者の屋敷で起こるお家騒動には、必ず火種となる者がいると言われる。
正妻が「基礎」であるなら、囲われ者は「基礎」ではない。
かつて揚州で名を馳せた花魁であった私は、まさにその「基礎」ではない囲われ者だ。
私は隠しもせず、憚りもせず、若き侯爵が黄金十万両で私を身請けしたと、大々的に宣伝して回った。
奥様が控えめにするよう忠告すれば、私は侯爵様から贈られた東珠を靴に縫いつけてやった。
女将が私に作法を教えようとすれば、その目の前で『女大学』を一枚一枚破り、茶を煮出した。
都中の誰もが、私のことを狂った女だと言った。
だが三年後、侯爵様が江南から一人の女を連れ帰り、第二夫人として迎えると言い出した。
奥様は夜通し涙を流し、最後にはむせび泣きながら承諾した。
しかし私は、彼の杯に注がれた毒入りの酒をかき混ぜながら、口の端を上げた。
「申し訳ないけれど、私は同意しないわ」