寒冬の折、鈴木琴音とマチは過酷な仕打ちを受けていた。そこへ猟師の平井泰山が現れ、銀三十両で借金を清算し、念書を以て母娘の身の安全を保証する。山奥で一人暮らす無骨な男は、一杯の粥、幾度となく身を挺して守る姿、夜通しの薪くべで、鈴木琴音の凍てついた心を溶かしていく。マチは千尋と改名し、医術を学んで名医となり、平井泰山の古傷を癒し、世の人々をも救う。死んだはずの仇敵が戻り波乱を巻き起こすと、平井泰山は虎を仕留めるほどの力で家族の安寧を守り抜く。吹雪の中の半分の乾パンから、灯火の下の団欒まで、善意はついに報われるのであった。