田中大造は、少し抜けた息子の田中大輝と共に裏山で記憶喪失の女性、九美を拾い、息子の嫁として家に迎える。九美の美貌は村人たちの噂の的となり、行商人の鈴木健は九美を狙い、「狐の匂い」がする、犬を怖がるといった噂を流し、彼女が妖狐だと中傷する。田中家の鶏が一夜にして姿を消し、裏山で鶏の骨が見つかったことで、田中大造は半信半疑になる。さらに鈴木健は、九美が満月の夜に祝言を挙げて田中家の精血を吸い取ると予言する。九美は三日後の十五夜に祝言を挙げると言い出し、仲人の山田おばさんを呼んでくる。祝言の前夜、山田おばさんと九美は田中親子を酔いつぶす。翌日の祝言当日、田中大造が目を覚ますと、庭には祝いの飾りが満ち、村人たちが初夜の冷やかしに騒いでいた。しかし、山田おばさんの表情は不気味で、祝言の部屋にいる九美は不気味な長い爪をのぞかせる。田中大輝が角隠しを外そうとした時、恐怖の叫び声を上げ、田中大造は鈴木健の「妖狐」説をますます信じ込む。一つの危機が、まさに起ころうとしていた。