私と姉は同時に毒を盛られ、声を失った。
解毒薬は一粒だけ。姉はそれを奪い取り、自分の口に入れた。
姉は歌声で都を魅了し、東宮(とうぐう)に入り皇太子妃となった。しかし、皇后(こうごう)は姉を国を惑わす芸者だと見なし、冷宮(れいぐう)に追いやった。姉は最終的に、蓮池の底で命を落とした。
一方、話せない私は武将に嫁ぐしかなかった。国境を守ること三年、夫が手柄を立て、私も一等命婦(いっとうめいふ)に封じられた。
冷宮(れいぐう)にいる姉を見舞った際、私は姉によって獣の檻に閉じ込められ、獣の爪にかかって命を落とした。
再び目を開けると、目の前には一粒の解毒薬が置かれていた。
姉は薬箱を私の口元に押し付け、狂気的な眼差しで私に食べるよう促す。
私は慌てず騒がず、その薬を指でつまんだ。
今世こそ、ようやく自分のために声を上げることができる。
ただ、哀れな姉よ。
天国への道があるのに彼女は行かず、地獄に門はないのに自ら飛び込んでいく。